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米リッチモンド 世代超え「差別撤廃を」

2020年09月28日

 米バージニア州の州都リッチモンドは、19世紀の南北戦争で奴隷制を支持した南部連合の首都。南軍を率いたリー将軍の銅像撤去と人種差別撤廃を求める大規模集会では、家族での参加者が目についた。

 息子と一緒に抗議の声を上げた黒人のキャシー・デシャンゾ・ジャクソンさん(61)もその1人。地元の白人だけの中学校に初めて通った黒人の1人で「猿だ、醜い」などといじめられたという。母親が人権団体の幹部で小さいころからデモや集会に参加。「平等と正義に向けた変革の歴史づくりに力尽きるまで加わりたい」と力強く語った。

 高校生のキエジャー・ホリデーさん(15)は祖母のアンジェラ・チャールズさん(55)と一緒に初めて集会に参加した。「あまりにも長い間、警察の暴力、黒人の冤罪(えんざい)が放置され続けてきた。私たちの訴えに耳を傾けてほしい」。雄弁にそう語る孫を見つめながら、チャールズさんは「頼もしい」と、ほほ笑んだ。

 「黒人だけでなく、誰もが声を上げて差別撤廃に向けて結束すべき時だ。変化は必ず訪れると信じる」とチャールズさん。世代を超えた願いはいつ実現するだろうか。 (岩田仲弘)