2020年10月03日
最近もトライアスロンの元韓国代表女子選手が自殺するなど、韓国のスポーツ界では指導者による暴力問題が相次ぐ。背景として少数精鋭の選手育成が指摘されるが、草野球にも「エリート」が存在する。
高校時代に野球部に所属していれば無条件で「選手出身」として区別され、木製バットの使用義務付け、投手として出場できないなどの規定が適用される。日本の草野球で、野球部にいたからといってこんなルールは聞いたことがない。
日本には野球部のある高校が約4000校に対し、韓国ではわずか80校ほど。高校の野球部員はいわゆる「プロ予備軍」で、未経験者とは実力差が大き過ぎるからだ。知人の韓国人にも「選手出身」がいるが、日本の独立リーグでプレーした経験がある。
野球だけでなく、他のスポーツでも部活動は、プロや五輪を目指す「養成所」との位置付け。娯楽や体力づくりを目的に参加する場ではない。こぞってソウルの名門大を目指す学歴社会もそうだが、純粋にスポーツを楽しむこともできない韓国の子どもたちは息苦しいだろうなと思う。 (中村彰宏)