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ソウル 朝鮮族がいけにえに

2020年10月30日

 中国食品、電話局、自動火鍋…。漢字の看板を掲げた店が軒を連ねる。中国の少数民族・朝鮮族が集まるソウル市南西部の大林洞(テリムドン)を訪れた。

 彼らの話す朝鮮語は、標準的な韓国人と発音はやや異なるが、意思疎通には問題がない。

 1980年代から経済成長した韓国には、安価な労働力としての朝鮮族の移民が増え、今や70万人に達したという。

 朝鮮族の地域誌「中国同胞タウン新聞」の編集長を務める金正龍(キムジョンリョン)さん(58)が企画した討論会「コロナ時に現れた差別、嫌悪」に参加した。

 中国で新型コロナウイルスの感染が拡大した1月、韓国紙の一部が大林洞を訪れ、「マスクを着けず、たんやつばを吐く人々」などと伝えた現場ルポを金さんは問題視した。当時、マスクは不足し、韓国人でも未着用の人はいたが、朝鮮族の衛生感覚が欠如しているような印象を与えた。家政婦などの職を失う仲間も出たという。

 「経験のない不安の中で、人々は誰かを犯人にしたがる。少数者がいけにえになる」。金さんらの訴えが、マスメディアであまり報じられていないのが寂しい。 (相坂穣)

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