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北京 手を取り合う未来に

2009年10月06日

 三年間の中国生活で衝撃を受けた言葉がある。

 「日本人と北朝鮮人が池でおぼれていたとしたら、中国人は必ず北朝鮮人を助けます」

 相手は米国人でもロシア人でもいい。「とにかく日本人は助けない」という意味。日本に留学経験がある知識人女性の言葉だけに驚いた。今も語り継がれる戦争の歴史がそう思わせるらしい。

 ならば、日本は永遠に謝罪し続け、中国は永遠に憎み続けるしかないのか。違うはずだ。

 四川大地震で「日本の救助隊に心から感謝する」と涙した被災者がいた。北京五輪では「私の祖父は日本軍に殺されたが、昔と今は違う」と言って日本チームを応援した女性もいた。

 軍事や外交の世界では相手を敵とみなす時もあるが、国民同士が憎み合う必要はない。過去は変えられなくとも未来はつくることができる。帰国にあたり、日中の将来を信じたい。 (平岩勇司)