2009年11月18日
日本人会の秋祭りがカイロで開かれた。支局のエジプト人助手二人やその家族らも招待したが、助手たちとの間でひともんちゃくあった。前売りの食券をまとめて買っておいたところ、祭り前日、支局で助手たちが「家族分も含め、自分たちの食券を今、配ってくれないか」と言う。
一緒に出掛けるのだから当日に会場で配ればいいだろうと言うと「どうしても今、ほしい」としつこく食い下がる。「食券ぐらいのことで細かいことを言うなよ」とキレたら、こう言われた。
「家族の目の前であなたから食券をもらうことには、耐えられません」
たかが食券でも、施しと映ることが嫌なのだという。アラブの人々はことのほかメンツを重んじるが、これもその一例らしい。
私はやむなく仕事の手を休めた。すき焼き弁当やすし弁当の食券を助手に配りながら、異国では人付き合いも楽ではないのだと自分に言い聞かせた。 (内田康)