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ニューヨーク 自由の国の隔離生活

2020年11月19日

 真夜中、時計の秒針を見つめ、心の中でカウントダウンした。大みそかでもないのに。

 8月上旬に赴任してから2週間、米国が新型コロナウイルス対策のため入国者に求める「自主隔離」が終わった瞬間だ。

 事前に隔離の情報は聞いていたが、空港に着いた途端、米疾病対策センター(CDC)から携帯電話にメッセージが届いたのには驚いた。「国際旅行をしましたね? 14日間、できる限り自宅で待機してください」

 どういう経路で携帯番号を把握されたのかは分からないが、感染拡大に悩む米国の本気が伝わってくる。「自宅で」と言われても、不動産業者から「2週間はお会いできません」と告げられているので、当面は受け入れ可能なホテルに滞在した。

 以来、妻子とともにホテルを出るのは、パンや水の買い出し、人通りの少ない時間の散歩だけ。これが「自由の国アメリカ」での新生活となった。

 「コングラッチュレーションズ(おめでとう)!」。隔離が明け、新居の近所の人々に言われた言葉も、コロナ時代の新しいあいさつとなるのか。早く世界が「おめでとう」と言える日が来ますように。 (杉藤貴浩)