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ワシントン 壮快さ奪う強制減速

2020年11月14日

 ワシントンに赴任して以来、移動手段として電動キックスケーターのシェアサービスが欠かせない。小回りが利く上、ちょっとした息抜きになるからだ。携帯電話に5社のアプリを入れてあり、探すのも苦労しない。

 頻繁に使っていると、トラブルも多い。乗車しようとQRコードに携帯をかざしても、なかなかロックが解除されない。乗車を終えて携帯の「END RIDE」画面を押しても反応せず、料金が加算される…。その都度泣き寝入りせず、顧客センターに電話で抗議すると、料金を免除されることもある。

 最高時速は20キロ未満。最近、快調に飛ばしていると、スピードがみるみる落ちた。仕方なく路面を蹴りながら進むが何とも格好悪い。これは抗議せねばと携帯を取り出すと、アプリが速度を落とす旨を警告していた。

 付近は抗議デモがよく行われる「ブラック・ライブズ・マター・プラザ」の一角。シェア会社が位置情報を使い、「ジオフェンシング(仮想的な境界)」を設けていたのだ。事故防止が目的だろうが、なんだか監視されているようで、付近を過ぎてスピードが戻っても、壮快さは戻らなかった。 (岩田仲弘)