【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. 中東・アフリカ
  5. カイロ 「親日」大統領の思い

カイロ 「親日」大統領の思い

2020年11月23日

 エジプトのシシ大統領が今月、今後建設するカイロ市内の高速道路や教育施設に、相次いで「シンゾウ・アベ」と名付けることを表明した。もちろん、日本の安倍晋三前首相にちなんでのこと。政治的な意図を勘繰ったが、そうでもないようだ。

 シシ氏は安倍氏と少なくとも6回会談し、首脳級では多い方という。初訪日時にはアラブ諸国の首脳で初めて日本の国会で演説。親日派でもあり、エジプトに日本式教育を取り入れた公立学校を開いたほどだ。

 教育施設の命名理由を、シシ氏は「病気が早くよくなることを願って名付けたい」と説明。高速道路への命名は会議中に突如言い出し、関係者を驚かせた。安倍氏を気遣う気持ちは強く、フェイスブックに「早い回復を願う。両国の発展に貢献したパートナー」と投稿している。

 ただ、いつ「シンゾウ・アベ」が完成するかは未定だ。エジプトの公共事業は予定通りに進まず、支局近くの地下鉄駅も「もうすぐ完成」と言われて3年以上。新博物館の完成も数年単位で遅れている。しかし、相次いだ命名は大統領の思いがあってこそ。その気持ちがやけにうれしかった。(蜘手美鶴)