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ロシア・アストラハン州 実際の軍事作戦再現

2020年11月26日

 「この先に入るな。撃たれるぞ」。行く先々の軍事演習場には例外なく、警告の看板が掲げられていた。

 9月下旬、ロシア軍の演習を取材した。看板は果たして非日常の世界を暗示していた。内側ではヘリが、戦闘機が、戦車が目標物をひたすら破壊する。

 爆撃と砲撃。その様子を比喩なしで表現するのは難しい。コンクリートも大地も豆腐のように柔らかい物体に思える。砲弾は斜面に当たると、ゴム玉のように跳ねる。演習場の真ん中に人がいたら-。

 「撃たれるぞ」という看板は正しくない。「姿も留(とど)めず殺される」が正しい表現のはずだ。

 アストラハン州では中東シリアでの作戦を踏まえたという演習も行われた。シリアのアサド政権の要請で軍事介入したロシアからすれば、誇るべき成果発表会だ。

 耳をつんざく音と砂ぼこりの中で納得した。ああ、この破壊作戦のせいで多くのシリア市民が命を落としたんだな、と。

 「この先に入るな」。自国で警告を発する空間を、他国では実際に現出させる恐ろしさ。知りたくはない現実を見た、聞いた。

 (小柳悠志)

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