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上海 日本の技術で農産品

2020年11月28日

 「上海人は崇明(すうめい)島のコメしか食べない」という話をよく耳にする。崇明島とは上海市郊外の長江河口にある島で、細い水路が張り巡らされた美しい農村の風景が広がる。

 ここに京都の農家の技術協力でコメや野菜を生産している人がいると聞き、収穫祭に行ってきた。上海の高級日本料理店の男性経営者も仕入れに訪れており「日本の生産技術を取り入れたことで、味や品質が安定している」のが長年使っている理由だそうだ。

 地元農家から直接食材を仕入れることも多いが「アスパラが10本必要なときには30本注文しなければいけない」と経営者。長さも形もばらばらで料理に使えるのが3割しかないため。多くが賄い用になってしまうそうだ。1方で、日本の農業協同組合のように統一規格で農作物を集めて販売する組織が確立されれば「中国の農業の生産性は相当上がる」とも話した。

 収穫した「ひとめぼれ」は高級スーパーや日本料理店に出荷される。1キロ50元(約780円)と普通の2倍程度だが、日本の技術に高い値が付いた気がしてうれしくなり、箱買いしてしまった。 (白山泉)