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オランダ・ライデン 日本が好きすぎて…

2020年12月11日

 「申し訳ございませんが、カードでお願いします」。あまりに流ちょうな日本語に驚いた。オランダ中西部ライデンのライデン大学植物園を訪ねた時のこと。新型コロナウイルス対策で入場料は現金が使えなかった。

 ライデンは、19世紀前半に長崎・出島に医官として派遣されたシーボルトが帰国後に暮らした町。通りには「デシマ通り」「シーボルト通り」の名が残り、日本とのつながりが深い。植物園ではシーボルトが持ち帰ったケヤキなど数多くの植物が今も大切に育てられている。

 植物園でアルバイトをしていたのは、ライデン大で日本学を学ぶフローレンス・スティーバーさん(29)。10代のころに見たジブリ映画がきっかけで日本に興味を持ったという。高校時代に新潟でホームステイを経験し、英語講師の研修で千葉にいたこともある。

 今年の夏休みも日本に行く予定だったが、新型コロナで断念した。「早く日本に帰りたいです」と彼女。「行く、じゃなくて帰る?」。日本語を間違えたのかと思って聞き返すと、笑顔で答えた。「日本が好きすぎて、私にとっては帰りたい場所なんです」(近藤晶)