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バンコク 「水に慣れる」べき!?

2020年12月13日

 灰色の雲が垂れ込めたかと思うと、一気に滝のような土砂降りに。雨脚が収まっても、川になった道に足止めされ、予定が狂う。今年はかなり悩まされた雨期が、ようやく明けた。

 「ごみが多く、排水路がつまる」「チャオプラヤ川の流れが緩く、流入が追いつかない」。正確な理由は不明だが、一向に改善されないバンコクの排水事情。大雨予報があるたび、都幹部が点検姿をアピールし、「大規模な排水トンネルやポンプを計画中だ」と力説するのだが。

 支局の助手に対策を尋ねると「しばらく待つか、ビーチサンダルを持ち歩くといい」と勧められた。冠水をものともせず、膝まで漬かって進むタイ人の姿を、スマホで見せられた。どこか楽しげな人もいる。だが、あんな虫や、こんな小動物もプカプカ。ふたが外れたマンホールに落ちていくことや、汚水で感染症の恐れもあるというのに。

 「現地の人が痛切な声を上げないからでは」と怨嗟(えんさ)が出かかったが、のみ込んだ。驚いたことに、直近の世論調査では、都庁の対策に「非常に不満」は27%、31%が「かなり満足」。時間にとらわれすぎな身を改めるべきなのか。 (岩崎健太朗)