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バンコク 屋台にデモの必需品

2020年12月22日

 ソーセージや魚のすり身団子に、果物ジュース。タイの「反体制デモ」で、緊張感を和ませている一つが、にぎやかな屋台の数々だろう。なぜか、メガネを並べる露店まで見かけた。

 長丁場では、地べたに敷くシートや暑さしのぎのうちわ。デモ隊排除の放水車が出動した翌日は、ゴーグルや傘。デモ参加者たちがそのときの状況に必要とするであろうモノを、いち早く取りそろえる屋台の人々。警官隊や参加者を先回りし、待ち構える情報力は「CIA(米中央情報局)」と囃(はや)された。

 バンコク郊外から車で40分かけて駆けつけるウボンラットさん(29)の本業は地元の雑貨屋だ。抗議の印の「3本指」をデザインしたシャツをつくり「1日で100枚以上売れることもある」。でも商売だけじゃない。「私も昔、デモに参加したけど変わらなかった。若い子を応援したい」とタダで配ることも。収束すれば特需も終わるが「そりゃ、早く解決してほしい。商売できるのも平和なうち」。

 露店のメガネはスマホ世代を狙った目に優しいブルーライトカット仕様だった。その後、見かけないのは、まだ疲れ知らずということか。 (岩崎健太朗)