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ソウル 夫婦の寝室の話まで

2021年01月10日

 先日、ソウル市内の自宅に、韓国政府が5年に一度実施しているという統計調査の担当者が訪ねてきた。国勢調査のようなものだろうと応じたが、無遠慮な質問に驚いた。家族の名前や年齢を聞かれた後、「水はどう飲む? 浄水器?」「どんな暖房を使っている?」などと続く。

 質問内容は回答者の立場によって変わるそうだが、私に対するものは、まだ甘い部類だったようだ。ネット上では、同調査で「夫婦で一緒の寝室ですか?」「近く、子どもを産む計画は?」などと聞かれたという人々の戸惑いの声が並んでいた。

 根掘り葉掘りの印象を受ける調査だが、結果は貧富の格差や少子化など社会問題に対する政策に活用するという。過去に同様の調査が行われた際は問題にならなかったが、今回は違和感を覚える人が多くなった。

 一因として、韓国政府が新型コロナウイルスの感染者追跡で、カード使用履歴や防犯カメラの映像などを多用したことをきっかけに、個人情報を意識する人が増えたことが挙げられる。今後、コロナ禍に伴って変化したプライバシー感覚に合わせて、調査方法は見直しを迫られるかもしれない。 (相坂穣)