2021年01月26日
ある意味、壮観だった。王室の行事を一目見ようと出掛けたバンコクの王宮前広場は、黄色一色に染まった人波に揺れていた。「国王万歳」「永遠の忠誠を」。王や王妃が姿を現すと、えも言われぬ熱狂に包まれた。
金曜は青、土曜は紫、日曜は赤…。タイでは生まれた曜日が重んじられ、それぞれに色や守護仏が決まっている。誰しも自分の誕生曜日を知っていて、占いや、冠婚葬祭の日取り決めに用いられる。ロイヤルカラーの黄色は月曜日。70年の在位で絶対的権威を築いた故プミポン前国王の誕生曜日だ。くしくも現国王もそう。
タイでは反体制デモが続き、王室支持派と反体制派が過熱気味だ。「双方の思いがわかる。時代とともに政治や社会にかかわる王室の役割も変わらなければ」。年配者が目立つ会場で、話を聞いた大学生のプレムさん(22)は冷静に答えてくれた。デモにも参加したことがあるが、王室への敬意も抱いている。
この日は黄色いシャツ姿。今の国王に関する質問は笑ってかわし「互いが一歩引くことができれば」と切実につぶやいた。多数の声なき声の一つなのだろうと思えた。 (岩崎健太朗)