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ブリュッセル 尻もちつき感じた善意

2022年07月01日

 ロシアのウクライナ侵攻に関連した国際会議の取材で、先日急きょブリュッセルを訪れた。欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)の本部があり、近代的な国際会議の街という印象だが、駅や市内は仏語と蘭語の表記しかなく、英語が見当たらずに早速焦った。

 スマホで地図を確認して会議場へ。街中では、ラテやコーヒーを片手にさっそうと歩く男女が多く、まねして私も購入。しかし、片手にスマホ、片手にラテでは、慣れない石畳の上は、とにかく歩きにくい。かつ街は国際会議で厳戒態勢中。交差点を青信号で進もうとした時、警察官の「アトンデ!(待って)」の声とともに赤信号の方向から緊急車両が続々と来て、急に立ち止まった際に見事に滑り、派手な尻もちをついてしまった。

 幸い、肉のクッションが厚かったおかげで尾骨は守られたのだが、恥ずかしいことこの上ない。しかし転んだ途端、同じく片手にラテを持った女性がすぐ駆け寄ってきて手を貸してくれ、とてもありがたかった。

 優しさに感謝するとともに、次は滑らない靴と、歩きスマホの厳禁を誓った。 (加藤美喜)