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パリ 校門前に銃持つ兵士

2021年02月11日

 フランスの公立小学校には日本のような登校班の仕組みがなく、保護者が送迎する。パリ市内の学校へ子どもたちを迎えに行ったある日、異様な光景にギョッとした。迷彩柄の軍服を着た仏軍の兵士たちが銃を手に校門を取り囲んでいたからだ。

 「事件か?」と身構え、兵士の1人に何が起きたのか聞いても「何でもない」と素っ気ない答え。校内から出てきた長男と長女も顔をこわばらせたが、地元の児童や保護者らはさほど気に留めていない様子。ふに落ちず、兵士と話し込んでいた校長に尋ねると「ただのパトロールですよ」と笑い飛ばされた。

 軍や憲兵隊、警察らによる警備隊が各校を定期的に見回っているそうで、校長が話し込んでいたのはこの地区を担当する警備隊が交代したため引き継ぎ連絡をしていたからだという。

 エッフェル塔などの観光地では警備隊の姿をよく見るが、まさか学校にも来るとは…。昨年10月に中学校教師が殺害されたテロ事件が起きてからはさらに警備体制が強化されたそう。この国がテロの脅威と隣り合わせにいることを改めて思い知らされた気がして、校長のようには笑えなかった。 (谷悠己)