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ワシントン 入国に何カ国も経由

2021年02月19日

 新型コロナウイルスの影響でワシントン近郊の学校は、いまだにオンライン授業が全面的に続く。地元の幼稚園の授業を受ける次男の同級生には、さまざまな国の子どもたちがいる。アフリカ南東部沖のマダガスカルから来た女の子もその1人だ。

 その母親は昨年秋、持病が悪化した親の世話で、マダガスカルに一時帰国した。コロナが米国を含め小康状態だったころで、フランス経由で入国。その後、親の体調回復にめどが立ったため、年明けに米国に戻ろうとした。ところが、冬に入り感染は世界各国で急拡大。通常のフランス経由では米国に入れなくなっていた。

 感染拡大地域の判断は各国それぞれで違い、制限も異なる。米国に戻る複雑なルートをパズルを組み立てるように探した結果、エチオピアやアラブ首長国連邦、イランその他複数の国で何カ所も乗り継ぎ、3日がかりでようやくたどり着いたという。「本当に大変だった」と疲れ切った表情で語った。

 人の往来が寸断されるコロナ禍。彼女の話を聞き、日本にいる高齢の母のことが気になりテレビ電話をする頻度がまた増えた。 (金杉貴雄)