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北京 家族再会かなったが

2021年02月28日

 中国での新型コロナウイルス流行を受け、日本に一時帰国していた妻と小学4年生の長男が北京の「自宅」に戻ってきた。家族との再会はほぼ1年ぶり。

 昨年1月、湖北省武漢が都市封鎖となり、中国全土はウイルスへの恐怖に包まれた。武漢では患者が病院に殺到し、医療体制が崩壊。家族を失ったり、入院先が見つからなかったりした人たちの、嘆きや怒りの声があふれた。

 当時、北京や上海などから多くの日本人駐在員や家族、留学生が帰国した。わが家は仕事のため私は残り、妻子が帰国し日本で2週間、自主隔離をした。家族だけでも安全な日本に避難させられ、ほっとしたのを覚えている。日本の感染拡大で長らく中国再入国ができなくなったが、ようやくビザを取得し家族再会がかなった。

 最近、中国の友人に会うたびに、「ご家族が安全な中国に戻れて、よかったですね」と言われる。中国の感染者は少なく、多くの中国人にとって今の日本は「危険な感染地域」なのだ。データを見れば確かにそうなのだが、この1年間のあまりの状況の変化を思い、割り切れない気持ちになる。 (坪井千隼)