2021年02月25日

　スーダンの首都ハルツームで取材した男性は、カラッとした明るい性格で笑顔がよく似合った。見た目は４０代前半ぐらいだろうか。取材の最後に年齢を尋ねると「４７歳だ」。「お若いですね」と返すと、困ったように笑ってみせた。

　明るかった男性が見せた苦笑いが気になった。「４７歳は若いですよ」と繰り返すと、男性は「スーダン人の寿命は６０歳ぐらい。だから、私はあと１０年ちょっとだよ」と再び苦笑い。理由が分かったと同時に、自分の言ったことを後悔した。

　統計情報によると、スーダン人男性の平均寿命は６４．２歳。年々伸びてはいるが、２００５年時点では６０歳を下回っている。絶え間なく紛争が続き、先進国では簡単に治る病気でも命を落とす人は多い。そうした要因が平均寿命に表れている。

　一方で、自分が暮らすエジプトはどうか。調べてみると、男性の平均寿命は７０．２歳。確かに、エジプト人から「日本人は長生きできていいね」と言われたことがある。日本の定年はだいたい６０歳。多くが当たり前に定年後の暮らしを描くが、老後を描けるだけでも幸せなことだと知った。　（蜘手美鶴）