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上海 「戦時下」だから厳しく

2021年03月09日

 上海で久々に十数人の新型コロナウイルス感染者が出た。商業施設では健康コードの提示を厳しく求められるようになり、公式の会食は次々とキャンセルに。上海人の男性は「飲んでも感染する心配はないのだが、もし感染を広げてしまうと重大な責任に問われるから」と言う。

 小学校も一時休校となり、子どもの運動不足を解消しに近くの公園に行った。すると入り口で普段は見かけない警備員が仁王立ちになり「子どものキックスケーターを私に渡しなさい。遊具は持ち込み禁止だ」と道をふさいだ。なぜ禁止なのかと聞くと「禁止だからだ」。真顔でそう答える彼と口論するのもばかばかしく、家に引き返した。

 マンションの敷地の入り口では、小さなリュックを背負った中国人の住民が別の警備員に「英国から帰ってきたのか?」と厳しい口調で問いただされ、閉口していた。

 友人の上海人は「コロナとの戦争をやってるのだから厳しくなるのは仕方ない」と慣れた様子。「戦時下」に警備員は張り切っているが、遠目から公園内を眺めると、高齢者がいつものようにのんびりと太極拳やダンスに興じていた。 (白山泉)