【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. 韓国
  5. 韓国・全州 観光地化進む「食の都」

韓国・全州 観光地化進む「食の都」

2021年03月15日

 ソウルから南に約230キロ。韓国・全州(チョンジュ)を11年ぶりに訪れた。当時は高速鉄道KTXが一部しか開通しておらず、ソウルからバスで4時間ほどかかったが、今回はKTXで約1時間半で到着。時代の移り変わりを実感した。

 ビビンバやもやしクッパなど「食の都」として知られ、韓国式伝統家屋の韓屋(ハノク)が集まった韓屋村も有名。700棟の韓屋が密集して立ち、観光客にも人気のスポットだ。韓屋村を訪れる観光客は2010年の350万人から急増し、16年には1000万人を突破。今は新型コロナウイルスの影響で大幅に減少したが、今回の訪問時も韓服を着て街歩きを楽しむ外国人観光客の姿を見かけた。

 11年前も散策を楽しんだが、雰囲気は様変わりしていた。通り沿いには土産物屋や食堂、カフェなどが並ぶ。かつては実際に生活している家屋が多かったが、最近は店舗が増えて観光地化。出ていく住民も多いという。「観光客が増えるのはいいことだけど、風情がなくなった。昔の静かな雰囲気の方が好きですね」。案内してくれたガイドの言葉にうなずいた。

(中村彰宏)