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ソウル 「鬼滅」でも日韓の影

2021年03月25日

 韓国でもヒットしているアニメ映画「鬼滅の刃」。残忍な場面が多いとして14歳以下は保護者同伴という制限があり、新型コロナウイルスの影響で映画館の座席も減る中、1月下旬の上映開始から1カ月で観客動員は70万人を超えた。

 公開前から話題になっていたのが、主人公の着ける耳飾り。旭日(きょくじつ)旗に似ているとして、韓国版はデザインが変更された。韓国では、歴史問題を背景に旭日旗に対する拒否感が強く、東京五輪でも観客席などでの使用禁止を求める声が上がっている。

 耳飾りのデザインは似ていると言えなくもないが、旭日旗をモチーフにしたものではないし、ストーリーも関係ない。少し似ているからといって、過剰に反応しデザインを変えてしまうのはいかがなものか。韓国内でも「原作への冒瀆(ぼうとく)だ」「耳飾りが嫌なら映画を見なければいい」といった批判も出ている。

 日本で興行収入が歴代1位を記録したと聞き、映画館で鑑賞した。評判通りとても面白く、感動もした。ただ、耳飾りがスクリーンに映るたびに「ここでも日韓関係か」との思いが頭をよぎり、少し気持ちが冷めてしまったのも事実だ。 (中村彰宏)