2021年03月30日

　「春節の連休は自宅で過ごしたよ。本当は帰省して両親の顔を見たかったけど、新型コロナウイルスが相手じゃ仕方ない」。北京で飲食店を営む男性（４２）は苦笑した。

　旧正月の春節には、多くの人が帰省や旅行をし、大みそかに当たる日には「紅白歌合戦」に似た番組も放送される。今年の春節は２月１２日。コロナ対策で、政府は帰省や旅行の自粛を求めた。例年なら人の姿が減る北京や上海など大都市の繁華街も、多くの人でにぎわった。

　男性は「今の中国は感染が抑えられている。コロナの悲惨なニュースが続いた去年の春節休みのことを思えば、今年は幸せな春節だよ」と付け加えた。

　確かに昨年は、春節連休が始まる前日の１月２３日に、感染拡大で湖北省武漢が都市封鎖になった。春節のおめでたい雰囲気が吹き飛び、世界中に衝撃が走った。自身を振り返っても昨年の春節連休は仕事に追われた。自分や家族が「もし感染したらどうしよう」と、おびえて過ごしていたのを思い出す。

　今年は北京郊外の観光地に足を運び、のんびりと過ごせた。男性の言葉が胸に響いた。

　（坪井千隼）