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パリ ルーブルでパリコレ

2021年04月03日

 朝、パリ支局に出勤して新聞各紙に目を通した時、見慣れない媒体が交じっていることに気付いた。大見出しには「ロエベのショーが中止」とある。めくってみると、奇抜なファッションを着こなした女性モデルの全面写真で埋め尽くされていた。

 その日は新作発表会「パリ・コレクション」の開催期間中。スペインのブランドがコロナ禍で中止されたショーを紙上で再現しようとする試みだった。調べてみると、日本など他国の主要紙にも広告特集として折り込まれたそう。一流ブランドはパリコレにかける費用が違うと感心したが、上には上がいた。

 ルイ・ヴィトンが開いたオンラインショーの会場は、なんとルーブル美術館。階段上で異彩を放つ「サモトラケのニケ」など古代ギリシャ彫刻が並ぶ回廊が、モデルたちのランウエーになっていた。コロナ禍ならではの何ともぜいたくな演出だ。

 フランスの全美術館は昨秋にパリへ赴任した直後から休業し続けている。行きたくても行けなかった場所の現況を思わぬ形で目にできて少し得した気にもなったが、しばらくして思い直した。やっぱり、実際に行って鑑賞したい-。 (谷悠己)