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北京 外国の報道は偏向?

2021年04月12日

 「以前からそうだったが、最近の外国メディアは特に偏っている。中国の悪口ばかり流している」。北京で学習塾を営む知人の男性(42)は真顔で語った。

 中国のテレビでNHKを見ていると、香港やウイグルの問題など中国政府に都合の悪いニュースが流れた瞬間に映像が遮断される。日本や欧米メディアの記事は、政府によるインターネット規制のため、アクセスが制限されることが多い。

 こうした当局の規制を、一般市民はどう感じているのか知りたくて聞いた。男性は何度も日本を旅行したことがある日本通だが、海外メディアの報道については「子供や若者に悪影響を与える恐れがあるから、規制は仕方がない」と言い切った。

 中国の報道機関は共産党の「喉と舌」とされ、政府に都合のいいニュースだけを流す。それを信じている市民からすれば、香港やウイグルの問題についての政府の対応は適切であり、批判する国外メディアは偏向していると映るようだ。

 自由な言論空間で暮らしている国外の人々と、中国の人々との間の認識のギャップを埋めるのは容易ではなさそうだ。 (坪井千隼)