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ニューヨーク 橋上の光景に何思う

2021年04月13日

 歩いて渡りながらマンハッタンの摩天楼を一望できるブルックリン橋は、ニューヨークの名所の1つとして知られる。開通は1883年。全長約2キロは当時世界でもっとも長いつり橋だったという。

 先日、この橋を散歩しながら、以前読んだ主任技師ワシントン・ローブリングの話を思い出した。設計図を書き上げた亡父の遺志を継ぎ、橋の建設に腕をふるったが、作業事故の後遺症で療養の身に。完成まで、妻を代理に現場へ指示を送りながら、自身は自宅の最上階から望遠鏡で橋を眺め続けたという。

 「すいません、写真を撮ってくれますか」。観光客らしき若いカップルに声をかけられ、つかの間、現実に戻った。「もちろん。いいですよ」。橋が100年以上も長持ちし、幸せそうな男女が笑顔で肩を並べる光景を見れば、きっと天国のローブリングも満足だろう。

 ただ、その次の一こまには首をひねったかもしれない。「これも使ってください」。カップルから、カメラとともに渡されたのは消毒液の小瓶。撮影後、みんなで手をこすりあわせる姿は、彼の望遠鏡にどう映っただろう。 (杉藤貴浩)

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