2021年04月15日
閑散とした米国の首都ワシントン中心部で、女性があちこちスマートフォンをかざして建物の写真を撮っている。ミネソタ州からやってきたというデブさん(67)は「大きい建物ばかりで圧倒されるけど…。(新型)コロナウイルスのせいで人が少なくて、かえって寂しいわ」。
記者は日本からやってきたばかりだが、確かに、東京とは比べものにならないほど人が少ない。エレベーターでも、先客がいると、「密」を避けて乗ろうとしない。世界最多の感染者と死者を抱える国だけに身構えていたが、市民の意識は高い。
しかし、それは感染防止を呼び掛けるホワイトハウスのお膝元だけなのかもしれない。保守層は依然としてコロナ対策を嫌がり、地方ではマスク着用をやめる州もあれば、配車サービスの車にマスクなしで乗り込んでわざとせき込む人もいる。
トランプ氏を支持する帽子をかぶった男性と擦れ違った。やはりマスクはしていない。
融和を掲げるバイデン大統領は感染を抑えるため、国民に一致団結して対策をとるよう呼び掛ける。しかし、分断が進んだ米国は、なかなか一枚岩にはなれない。 (吉田通夫)