2021年04月22日
穏やかな陽気に誘われ休日にパリ市内を散歩していると、セーヌ川沿いの遊歩道で見事に花を咲かせた桜が群生するのを見つけた。説明板によると、近くにある仏有名チェーンのホテルが日系ホテルだった時代にパリ市へ寄贈したのだという。
後日、そのことを知人に話すと、「シラク元大統領が通った日本食店があるホテルですね」とピンときた様子。知日派だった故シラク氏が食事する様子が何度かテレビで放送され、有名になったそうだ。「じゃあ、あそこの桜はもう見ました?」
そう勧められた場所はシラク氏の名を冠し、アジアやアフリカの原始美術を集めた美術館。通勤途中に正門前を通っているが、裏手にある庭園の存在には気付かなかった。早速寄ってみると、桜だけでなく桃やモクレンの木々が小池のほとりで花を咲かせ、桃源郷のよう。コロナ禍で入館できないのが残念だが、外からの眺めを楽しんだ。
核実験の強行など在任中の評価は分かれるが、フランスが現在の親日家大国となる礎を築いたともいえるシラク氏が亡くなり、9月で2年。その頃には美術館が再開し、入館が果たせていると信じたい。 (谷悠己)