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中国・平遥 古城にもIT化の波

2021年04月24日

 城門をくぐると、100年以上前の清の時代の街並みが広がっていた。

 世界遺産「平遥(へいよう)古城」で知られる山西省の平遥県を訪れた。明代から清代にかけつくられた歴史的な街並みと、街を取り囲む周囲6キロの城壁がそのまま保存されている。

 石畳の街路の両脇には、築100年を超える趣のある家屋や商店が立ち並ぶ。「うちの料理は平遥名物だよ」。レストランの前では、伝統衣装を着た男性が客の呼び込みをしていた。

 長い歴史を誇る中国だが、多くの都市では開発が進み、古い街並みは少なくなった。平遥古城は、明清代の古い都城の姿がそのまま残されている珍しい街だ。以前は山西商人の拠点として栄えたが、20世紀に入り経済発展の流れから取り残され、結果的に街並みが保存された。

 現在は街全体が史跡として保護対象となり、車の乗り入れも禁止だ。街の様子は5年前に訪れたときと何も変わっていなかったが、1つだけ変化が。以前は紙だった古城内の史跡入場券が、すべてスマホの電子チケットに替わっていた。中国で進むIT化の波だけは当地でも例外ではなかった。 (坪井千隼)