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上海 水餃子は祖父母の味

2021年04月27日

 長男が通う上海の日本人小学校には中国と日本のハーフの子も多く在籍している。両親が忙しく、中国人の祖父母が送り迎えをしている場合も多い。

 ある朝、妻が同じマンションに住む児童の祖父に「どんな弁当を作っているの? ちょっと写真を送って」と頼まれた。祖父母は遼寧省の人だが、学校がある時期は上海の家に住み込んで孫の面倒を見ている。「孫は日本食を食べたがる。おばあさんが毎朝5時に起きて弁当を作ってるんだが、何を作ってよいのか分からない」のだという。

 妻が祖母と連絡先を交換して弁当の写真を送ってあげると、3学期の終業式の前日、「弁当の写真のお返しに」と大量の手作り水餃子(ギョーザ)を届けてくれた。

 豚のひき肉と白菜を手製の皮で包んだシンプルな餃子だが、皮に適度な塩気があり、口に含むと全身に温かさが溶け込んでいくような美味。メールでお礼を伝えると「いつでも作ってあげるよ」と返してくれた。

 春休みに入って祖父母の姿を見かけなくなったところを見ると、今は地元に帰っているのかもしれない。餃子の味を思い出すに、新年度が始まる4月末が待ち遠しくなる。 (白山泉)