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カイロ ラマダン中も予防を

2021年05月24日

 ラマダン(断食月)期間中、夜の街がやけにきれいだ。色鮮やかなランタンが店や家の軒先を飾り、柔らかな光を放っている。日中の断食を終えた人たちが街へ繰り出し、カイロは深夜まで活気が絶えない。今回、自らも断食してみると、人々が夜、街に出る理由が見えてきた。

 まず、期間中、人々の生活はほぼ夜型になる。日没ごろに「朝食」を食べ始め、それからひたすら飲食する。午前3時半ごろに最後の食事を終えて寝るのが主なパターンだ。その分、朝は遅めで昼間は断食する。

 「朝食」を食べて、友人らと街へ繰り出す人たちは実に楽しそうだ。レストランはごった返し、ナイル川のクルーズ船も多い。ただ、忘れてはいけないのが新型コロナウイルス対策だ。昨年はラマダン中に感染者が増えたが、マスクを着けない人があふれる街を見る限り、今年も増えそうな気がしてならない。

 イスラム教で最も神聖な月のラマダン。昼間の飲食を断つことで、貧しい人の気持ちを共有し、周囲への思いやりも深まるという。夜騒ぐ楽しさも分かるが、「他人に感染させない」という思いやりのマスクが増えることを願う。 (蜘手美鶴)