【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. 中国
  5. 北京 電子化でさらば偽札

北京 電子化でさらば偽札

2021年05月27日

 「昔は現金でやりとりしていたから、偽札をつかまされないか常に警戒していた。電子マネーが普及して便利になった」。北京でアクセサリー店を営む劉さん(51)は笑顔で語った。

 電子マネーが普及した中国では、日常生活で現金を見かけることは少ない。急速に普及した背景には、IT技術の発達があるが、中国の人々を悩ませていた偽札問題も理由の1つのようだ。

 記者が北京に留学していた5年前は、まだ現金が一般的だった。飲食店でも雑貨店でも、偽札かどうかチェックする識別機が店先に置かれていた。機械がない場合は、店員が紙幣を念入りにチェックしていた。

 偽札は大半が100元(約1700円)の紙幣。政府は特殊加工を施した新紙幣を発行するなど対策をとったが、なかなか撲滅することはできなかった。知人の中にも偽札被害に遭った経験がある人がおり、身近な問題だと感じたものだ。

 今は現金の利用自体が激減し、偽札の識別機を見かけることはなくなった。電子マネーの普及は、中国を長い間悩ませてきた偽札問題を、あっさりと解決した。 (坪井千隼)