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英グレトナ・グリーン ようやくの晴れ舞台

2021年05月31日

 一夜にして、街が息を吹き返したような感じがした。先日、英スコットランド地方のグレトナ・グリーンを訪れた時だ。

 人口3000人ほどの田舎町は英国人にとって、結婚式を挙げる憧れの場所の1つ。街には宴会場を備えた大小のホテルが並ぶほか、夫婦の絆を表現したオブジェなどが立っている。

 私が到着した日は新型コロナウイルス禍による厳しい外出、集会規制の最終日で、店舗や結婚式場の扉は閉ざされていた。ただ、翌日は状況が一変。パブには住民が集い、式場案内や生花店などの結婚式関連の店舗は、電話や来客への対応に店員が追われていた。

 英国では昨年春から、コロナ禍による厳しい規制が繰り返し導入された。美容院を営む男性(32)は「結婚式を延ばし続け、この店の予約も2回、3回と取り直したカップルもいる」と同情しつつ、ワクチンの普及を念頭に「今度は大丈夫。街ににぎわいが戻るよ」と期待した。

 この日の規制緩和を信じていたのだろう、わずかながら式を挙げるカップルも見掛けた。待ちに待った晴れ舞台。幸せな笑顔がずっと、街中にあふれることを願った。 (藤沢有哉)