2021年06月04日
観光業の取材で訪れた米東部ニュージャージー州シーサイドハイツは海洋リゾート地。地図で見ると、米本土が大西洋に釣り糸を垂らしたように、細長い陸地が延々と続く。車で走れば東西に海が広がる絶景だ。
だが、それだけに水の害には弱い。「2014年のハリケーンの時は、アトラクションがすべて駄目になったよ」と現地の遊園地で30年働く男性職員。そこから立ち直ったと思ったら、今度は昨年からの新型コロナウイルス禍で客足が止まった。10数年前にはリーマン・ショックによる景気低迷もあった。
「あ、竜巻警報が出た」。話の途中で、男性が無線を聞きながら言った。見回すと、観覧車やメリーゴーラウンドが一斉に停止している。天気、景気、そして疫病…。遊園地の経営はジェットコースターのように起伏が激しい。「でも大丈夫、今回も乗り越えられるよ」
聞けば、コロナによるリモートワークの普及で、車で2時間圏内の大都市ニューヨークやフィラデルフィアから移住する家庭が増えているのだとか。ワクチン効果で感染が減ってきた米国。地元客であふれる遊園地の姿が早く見たい。 (杉藤貴浩)