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ソウル 防弾城 新たな聖地に

2021年06月03日

 近未来的な空中庭園を備えた高層ビルが、ソウル市内の自宅近くに出現した。おしゃれだなと思ったら、地元の主婦らが「防弾(バンタン)城」と呼び始めた。ビルは、世界のポップ音楽界を席巻する韓国の男性7人グループ「BTS(防弾少年団)」の所属事務所の新社屋だった。

 韓流スターの拠点といえば、漢江の南側の江南(カンナム)が主流となってきたが、防弾城は北側の龍山(ヨンサン)区に建った。米軍基地が置かれ、軍人向けの飲食店などが立ち並んできた地域だが、近年、基地機能の縮小が進められ、再生が進む。そこに目を付けたのが、独創的な歌やダンスで挑戦を続けてきたBTSらしい。

 BTSをはじめ所属歌手らがパフォーマンスを磨くスタジオが設けられたほか、活躍ぶりを紹介する博物館も5月に開館した。観覧は完全予約制で、館内撮影も厳しく制限される。入場料も2万2000ウォン(約2000円)と敷居は低くないと、感じた。

 とはいえ、新型コロナウイルス禍でなければ、世界から「アーミー」と呼ばれる熱心なファンが“巡礼”に訪れていたはずだ。日本のアーミーの代わりに魅力を味わってこようと思い直し、予約を入れた。 (相坂穣)