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ソウル 対抗心をあおり過ぎ

2021年06月10日

 「この比較に何の意味があるのだろうか」。5月の米韓首脳会談後の報道に、そう感じた。韓国メディアが取り上げたのが、会食で出た「クラブケーキ」。カニを使った米国の名物料理で、聯合ニュースは「日米首脳会談のハンバーガーとは対照的。米側が文在寅(ムンジェイン)大統領の好みまで考慮して誠意を表した」と伝えた。

 以前から気になっていたのだが、韓国では何かにつけて日本と比べる報道が多い。最近も「住みやすい国」や「幸福度」などランキングが発表されると、記事では韓国の順位のほかに、決まって日本は何位と付け加えられていた。

 日本好きを自任する韓国人でも、日本に対するライバル心は少なからず持っている。野球やサッカーなどでも日本戦になると自国の応援に一層、熱が入る。飲食店などで放送されていると、自分が日本人と明かすのがはばかられるほどだ。

 歴史的背景を考えれば理解はするが、何でもかんでも比較するのはいかがなものか。冷えきったままの日韓関係は、対抗心をあおるメディアにも責任の一端があるように思う。(中村彰宏)