2021年06月24日
米国で近頃、あいさつ代わりに交わす言葉は「もうワクチン打った?」だが、ワシントン周辺の米東部地域ではそれに続くのが「セミすごいね」だ。
「17年周期で大量発生する『素数ゼミ』の年」と聞いてはいたが、「人間だって17年前のことをよく覚えていられないのに、セミが17年をきちんと数えられるのか」と都市伝説に近いものでは?と疑っていた。
だが本当だった。5月半ばすぎから出るわ出るわ。サイズは日本で見かけるものより2回りほど小さく、目が赤いのが怖い。大量に出る木と全くいない木があり、発生している木の根元には抜け殻が山となり、幹に多数の成虫が張り付いている。
「まだまだこんなものじゃない。歩いていると上から降ってきて髪につく」と17年前を知る地元の知人女性は語る。
「食べられるしエビに似た味でうまい」と多くの人が言う割に、実際に食べたことがある人は周囲にいない。セミ料理を出すレストランもあるらしく、日本でイナゴも食べたことがない身としては気がすすまないが、「17年ゼミを食べた」と言いたいためだけに挑戦しようかどうか迷っている。 (金杉貴雄)