2021年07月01日
ニューヨークの街なかでは、たまに日本語の書かれたTシャツや雑貨を身に着けている人に出会う。「京都」や「富士山」といった定番以外に、思いがけない文言もある。
オバマ元大統領らも通った名門コロンビア大の近くでは、胸に「どろぼう」とプリントされた青年を見かけた。友人と談笑しながら買い物をしていたが、果たして意味は分かっていたのだろうか。マンハッタンから出るフェリーで乗り合わせた女性は、マグロのにぎりのイラストとともに「時すでにお寿司(すし)」と書かれた手提げかばんを持っていた。出港時間にはちゃんと間に合っていたが。
もちろん日本人としては、少し変な形でも日本語を好んでくれるのは素直にうれしい。思えば、こちらだって特に意識もせず英文字が載った服を着ていることもある。娘は体育の授業に日本から持ってきた「Jenny」とプリントされたTシャツを着て以来、教師から「ジェニー」と呼ばれているという。
そんなことを考えながら歩いていると、フロントガラスに「これでいいのだ」というステッカーを張った車が通り過ぎて行った。
(杉藤貴浩)