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ソウル 過ぎ去りし「読書の風」

2021年07月19日

 自宅に帰ろうとソウル市内で電車に乗り込み、驚いた。車両の座席一列が取り外され、本棚が設置されている。中には数100冊の本が並び、まるで図書館。不思議に思って調べてみると、「読書の風列車」の名前で、2016年から1日に2、3往復が運行しているという。

 路線は、ソウル北西部の坡州(パジュ)市からソウルを横断し、楊平(ヤンピョン)郡を結ぶ124キロの京義中央線。坡州市は、出版社や印刷所が集まる「出版都市」として知られる。韓国でも活字離れが進む中、市や鉄道会社が「読書の楽しみを知ってもらいたい」と始めたイベント列車で、本は車両内だけで利用でき、持ち出しは禁止になっている。

 自宅最寄り駅を通り、よく利用する路線だが、乗り合わせたのは初めてだった。すぐに降りなければならなかったため読むことはできなかったが、小説や実用書、絵本まで多様なジャンルの本があり、電子書籍端末が置いてあるのもデジタル社会の韓国らしいと感心した。

 ただ、車内を見渡すと残念ながら本を読んでいる乗客は、1人もいない。見ているのは皆、スマートフォンだった。 (中村彰宏)

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