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中国・深セン 「飲ミニケーション」推奨

2021年07月15日

 深センにある通信機器大手、ファーウェイの本社を見学して驚いたのは、そこが中国有数のカフェの集積地だということ。広い敷地内にある数々のカフェは、イタリアや東南アジアの雰囲気から、大正期の日本、京都・花見小路までさまざまなモチーフを取り込んで遊び心があり、なおかつ味もいい。

 本社に出張した社員には50元(約850円)の補助券が配られ、仕事や社内交流での利用が推奨されていた。「任正非(にんせいひ)最高経営責任者もよく飲みに来ます」とある店員。「コーヒーを飲みながら優秀な同僚と交流すると新しい発想が得られる」という考え方は、2000年代に多くの米国企業を見学してきた任氏のモットーだという。

 それぞれのカフェでは毎日午後8時半になると、残業する社員にバナナやヨーグルト、パンなどの軽食が配られる。福利の一環なのだろうが、だいぶ長い行列ができていたところをみると、なかなかハードな職場なのだろう。私は取材に訪れた1日で5杯のブラックコーヒーを飲んだが、付き添いの社員は「僕は何杯飲んでもやっぱり眠いです」と笑いながらぼそりとつぶやいていた。 (白山泉)