2021年08月20日

　近ごろ、よみがえった気持ちがある。通勤時の地下鉄での恐怖感だ。

　英国では７月１９日、ロンドンを含むイングランドで新型コロナウイルス対策の規制がほぼ撤廃された。交通機関や店舗内などでのマスク着用義務も廃止されたが、ロンドン交通局（ＴｆＬ）は独自に継続。このためロンドンの鉄道は路線によって、マスク着用義務が異なる。

　大きな駅では乗り換え時にマスクを着脱する人を見掛け、ある３０代の女性は「暑かったから前の電車では外してたけど、次の地下鉄は義務だから着けるわ」。ただ、ルールに敏感な人ばかりではなく、マスクを着けないままＴｆＬの電車に乗り込んでしまう人もちらほらいる。

　そんな状況に、店舗内などで着用義務が解除された慣れも重なって、私が通勤で使うＴｆＬの地下鉄もマスクを着けていない人が明らかに増えた。以前のように間隔を空けて座ることもなくなり、非着用者に隣に座られると思わず身をすくめる。

　規制撤廃により、コロナ禍前の日常の光景に近づきつつある。ただ、ロックダウンに逆戻りする不安も拭えないでいる。　（藤沢有哉）