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バンコク 熱き心の灯消えぬ

2021年08月30日

 まだ薄暗い夜明け前。バンコク旧市街の民主記念塔広場で、若者たちが路上に並べたろうそくに灯をともしていった。ついたと思ったら、一瞬で風に吹き消される。何度やり直しても進まない。カメラ越しに目が合うと、苦笑いが返ってきた。

 この日はタイの立憲革命の記念日。声が届かない政治や、閉塞(へいそく)感に包まれた社会を変えたい若者たちが集まった。90年近く前、絶対王政は廃止されたはずだが「依然として王が国を支配し、法の上に君臨している」。昨年から、普通の市民も巻き込んで特権階級に矛先を向けた運動は、当局に蹴散らされ、一部が過激化し、下火になった。

 隣国ミャンマーでも、クーデターから半年が過ぎ、大規模デモは抑え込まれた。軍による弾圧に、新型コロナウイルス禍が追い打ちをかけ、市民が追い詰められている。それでもなお、声を上げ続ける若者がいる。

 空が白み始めたころ。まだ着火に苦戦しているところに、仲間が電気ろうそくを持ってきた。「これで消えない。ばっちりだ」と誇らしげにポーズを決める。絵にはならないが、頼もしく感じ、何度もシャッターを切った。 (岩崎健太朗)

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