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北京 先行き不透明な自信

2021年09月01日

 東京五輪開幕後の7月下旬、来年2月に北京冬季五輪の開会式が開かれる北京の国家体育場(通称・鳥の巣)周辺は、多くの観光客でにぎわっていた。冬季五輪を間近に控える中国では、コロナ禍の中で東京五輪がどのように開催されるか注目されていた。

 「日本は感染が深刻だから仕方がない」。河南省から来た楊銀中(ようぎんちゅう)さん(50)は、東京五輪で競技の大部分が無観客とされたことに理解を示した上で、「中国は感染を抑えられるから、北京では観客を入れて盛り上がるはずだ」と誇らしげに語った。他国で感染拡大が続く中、中国は徹底した隔離や強制PCR検査で感染を抑え込んできた。習近平(しゅうきんぺい)指導部は共産党統治の「優位性」の根拠としてコロナ対策をアピールしている。

 中国の知人に話を聞いても、コロナ対策を理由に習氏を支持する声は以前よりも強まった印象だ。北京冬季五輪で観客を入れた開催が実現できれば、国威発揚の絶好の機会となるのだろう。だが一方で、中国でも世界で猛威をふるうインド由来のデルタ株の感染が広がってきており、先行きへの不透明感が高まりつつある。 (坪井千隼)