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パレスチナ・ガザ 自由じゃない海水浴

2021年09月03日

 空爆で壊れた街を見た後だったので、はしゃぐ子どもの笑顔が奇妙に見えた。パレスチナ自治区ガザの海岸は、暑い夏は家族連れでごった返す。しゃれた海の家があるわけでも、浮輪で波乗りを楽しむわけでもないが、海に入ってただ波と戯れる。夏場の唯一の楽しみという。

 イスラム主義組織ハマスが支配するガザは、2007年以来イスラエルによる「封鎖」が続く。文字どおりの封鎖で、周囲は壁に囲まれ、出入りは2カ所の検問所のみ。特別許可がない限り地区から出られない。5月にはイスラエルの空爆で、250人超が命を落とした。

 楽しそうに見える海水浴も自由とは言い難い。海は生活用水などで汚染され、地元の医師によれば、海水浴は皮膚病などの感染リスクが高い。約10キロ先の沖合では、武器密輸を警戒するイスラエルが目を光らせる。

 ガザを離れた翌日、海岸沿いに約100キロ北上し、イスラエルの商都テルアビブを訪れた。海辺は夕暮れ時でも若者でごった返し、ビーチパラソルを広げ、ビールを片手に楽しむ人も多かった。ガザから100キロ先で広がる「自由」。その差に戸惑い、しばらく海を眺めた。 (蜘手美鶴)

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