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仏アンボワーズ 隣国のライバル意識

2021年10月05日

 ルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチが晩年を過ごしたのは、故郷イタリアではなくフランスだった。仏国王フランソワ一世の招きに応え、1519年に67歳で亡くなるまで3年間、ロワール川沿いの街アンボワーズに滞在した。終(つい)のすみかとなった居城には、代表作モナリザに最期まで手を入れ続けたアトリエが残されている。

 休暇中に訪れると、新型コロナウイルス対策のため一列に並びながらの見学で、後ろにはイタリア人の親子がいた。「本来ならイタリアにあるべきものなんだが」。息子らに向かって展示品を説明する父親は終始恨めしそうに話し、「レオナール・ドバンシ」というフランス語での呼び方にも「何だか変な響きだ」と難色を示していた。

 旅路で利用したタクシーの運転手もイタリア出身で、居城での出来事を話すと「分かる、分かる」と大きくうなずいた。「フランス人はイタリアの良いところは自分のものにしているくせに、イタリア人のことは見下している」。隣り合う両国が歴史的な経緯や文化大国としての自負から抱いているとされるライバル意識の一端を、垣間見た気がした。 (谷悠己)

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