【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 世界の街
  4. アメリカ・カナダ
  5. 米エルパソ 国境をまたいだ通学

米エルパソ 国境をまたいだ通学

2021年11月10日

 メキシコとの国境の街、米南部テキサス州エルパソ。国を隔てるリオグランデ川沿いには高さ約10メートルのフェンスが立ち並び、監視カメラが等間隔で配置されていた。夕方、その厳重なフェンスと川の上をまたいで両国をつなぐ大橋をメキシコへ歩いて渡る大勢の人の姿があった。

 よく見るとそれは小中学生から高校生までの子どもたちで、数百人が検問所を通過し橋を渡っていく。車の列でも、ピックアップトラックの荷台にあふれるように乗り込み、こちらに手を振っている。検問所の手前でヒッチハイクのように車を止め、乗せてもらっているのだ。

 エルパソのようなメキシコに隣接する街には毎日、メキシコに住む多くの子どもたちが国境を越え米側の学校に通学しているという。

 「橋を渡ってそこから車に乗って家に帰るまで40分くらいかな」とエルパソの高校に通うケイルーズさん(15)。小学生のガミル君(10)は「毎朝4時に起きて通学している」と教えてくれた。学校のため日々国境を行き来する生活は、海に囲まれた日本では想像すらできない。笑顔の子どもたちがたくましく、輝いて見えた。 (金杉貴雄)