2021年11月15日
ロンドンに来て物価の高さを実感している。個人的な感覚だが、外食は日本の1.5倍、地下鉄もトイレットペーパーなどの日用品も割高に感じる。仕事で世界各地を行き来している知人には「こっちが高いというより、日本のデフレが異常では。先進国の物価はこれくらいが適正だと思う」と指摘された。
とはいえ倹約を心掛け、セール品の買い出しに近所のスーパーへ。両手に袋を抱えてレジを出た途端、目の前の生花コーナーで足がはたと止まった。
赤やピンク、オレンジの鮮やかな切り花がバケツいっぱいに並び、老若男女が笑顔で手に取っていく。美しい見事なバラが8本で3ポンド(約450円)。東京なら1、2本分の値段か。お値打ちさに驚いてまたレジに戻り、黄色を1束購入した。
思えば英国人は花が大好きだ。家や店、通りの至る所に飾られ、花柄の生地や服もよく見かける。花は庶民の生活に欠かせない身近な存在なのだろう。
早速リビングに飾ると、部屋がぱっと明るくなり、生命力に満ちてくる気がした。1束でこんなに潤い、癒やされるとは。この街に来て、初めて得した気分になった。 (加藤美喜)