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米プリンストン 活気あふれる名門大

2021年11月22日

 気候変動の研究で今年のノーベル物理学賞に決まった真鍋淑郎(しゅくろう)さんの取材で、所属先の東部ニュージャージー州プリンストン大を訪れた。周囲に広がる街は名門大のお膝元らしく、小ぶりな書店やギャラリーが並ぶ落ち着いた雰囲気。

 ただ、キャンパス内の学生たちは実にエネルギッシュだった。真鍋さんの祝賀会に駆けつけた大学院生の男性(23)は神経学の専攻。真鍋さんの専門とは直接の関係はないが「気候変動で死んでしまったら自分の好きな学問も続けられないでしょ」とワイン片手に大きく笑った。

 キューバ生まれのイタリア育ち。「プリンストンでは誰もが自分の母国やルーツに誇りを持ちながら自由に成功を目指している」。隣にいた卒業生の女性も「真鍋さんもきっとそうだったと思う。私はフランス出身」と相づちを打った。

 米国籍を取った真鍋さんも記者会見で「日本人は他人の迷惑にならないことばかり気にしている」と述べ、米国の自由さを称賛した。海外への頭脳流出が課題の日本。時に摩擦を生みながらも多様な人材を集め続けるダイナミズムに見習うことは少なくない。 (杉藤貴浩)