2021年12月01日
韓国には軍関係者の福利厚生に使われる国防省所有のゴルフコースがいくつかあり、ソウル市北東部の泰陵(テルン)ゴルフ場もその1つ。先日、知人に同伴してプレーする機会を得たが、フェアウエー右側に空間が大きく広がるホールがあった。
曲がっても大丈夫そうだと安心していると、キャディーが教えてくれた。「ここは朴正熙(パクチョンヒ)ホールと呼ばれているんですよ」。1966年、当時の朴正熙大統領の命で軍部隊を動員してつくられたコースで、右に曲がるスライスが出やすい朴大統領のためにOBにならないように右側を広くしたロングホールが名物。「朴のゾーン」と英語で書かれた石碑も置いてあった。
ソウル中心部から車で約30分と実に便利な立地だが、マンションに建て替える計画が持ち上がり、存続の危機にある。ソウルは極度の住宅難。供給不足が不動産価格の高騰を招き、社会問題になっている。
ゴルフ場周辺では住宅開発が進んでいる。軍関係者は割安でプレーできる特恵もあり、社会の目も厳しい。コースから周辺に立ち並ぶマンション群を眺めると、存続は難しいのではと思えてきた。 (中村彰宏)